拳を固めてサワディカップ2-1
2016年12月から2017年4月にかけて、ほぼ毎月タイ選手が来日したため、セコンドやサポートで忙しかった。
その際、国際マッチメイカーの青島氏から
「5月24日にバンコクでWBC(世界ボクシング評議会)の授賞式があるので参加してみますか」
と声をかけていただいた。
5月22日、福岡空港を出発し、午後3時スワンナプーム空港に到着した。迂闊にも飛行機の座席のポケットにメガネを忘れ、気づいたのがイミグレーションを過ぎたところだったので、総合受付でメガネを取り戻すまでに3時間も待つ羽目になってしまった。大変なお手間をおかけした空港関係者の方に深くお詫びしたい。
自業自得とはいえ、空港でのひと悶着でヘトヘトだったので、帰宅ラッシュ中の電車を乗り継ぐ元気もなく、タクシーでエカマイ通りのパラダイス・スクンビットホテルへ向かう。インド系のホテルで部屋も広く快適な滞在になりそうだ。
ホテル近所のバーベキューレストランに入り、バイキング形式の肉やシーフードをチャン・ビールで流し込む。食事が済むとナナプラザ内の行きつけのバービアに繰り出し、おばちゃんバーテンのバンイエンと乾杯、再会を喜んだ。相変わらずの賑わいのナナプラザだが、遊びに来る日本人や白人たちの行儀の悪い遊び方にタイ人たちは顔をしかめていた。確かに、若い旅行通たちは、如何に値切り、如何にわがままに遊べるかなどということを得意気にブログや動画で配信を続けている。羽を伸ばすのは結構だが、数十年前の先人たちが誠心誠意、この国の人々との良好な関係を保つために作ってきたものを大切にしたい。
雨季のため、通りは実に蒸し暑い。やはり電車を避け、タクシーでラチャテウィーへ。タイマッサージを受け、早めにホテルへ戻る。屋上のプールへ行くとプールサイドにビアガーデンがあり、インドやアラブ系の客たちで賑わっていた。無数に吊り下げられたカラフルな裸電球が安っぽい夏祭りのようだったが、それがかえってエキゾチックないい雰囲気を醸し出している。隣のテーブルの客と意気投合し、乾杯を重ねとてもいい時間を過ごすことができた。
5月23日、今回の滞在は予定がタイトなので、先に雑用を済ませようとBTSに乗りMBKやBIG-Cで買い物。バンコク銀行やカシコン銀行へ行き、口座開設に必要な書類を受け取る。ネットバンキングまでできる口座開設はハードルが高そうだが、何とか頑張ってみよう。
夕方、サパンクワイの青島宅にお邪魔して、タイ選手の日本への招聘の流れなどを教わり実に勉強になった。まだ少し仕事が残っているというので中座し、青島氏が自宅下に作ったジムへ顔を出す。カンボジアから来たという兄弟が住み込みでトレーニングに明け暮れているという。青島氏の息子の大志君に頼まれて一人2ラウンドずつスパーリングの相手をした。特にサウスポーの兄の方はパンチもあり、しっかり頑張ればいい選手になるかもしれない。スパーリングの後、ミットを持ちフォームチェックを入念にアドバイスし、激励の握手をして別れた。
ちょうど仕事が終わった青島氏、大志君とプラディパッドホテルのレストランで夕食。翌日のスケジュールについて軽く打ち合わせ。明日の授賞式の参加者の顔ぶれを聞いて驚いた。WBCミニマム級チャンピオン、ワンヘン・ミナヨーティンやWBCスーパーフライ級チャンピオン、シーサケット・ソー・ルンヴィサイなどの現役王者に、フィリピンのかつての名王者、フラッシュ・エロルデの息子夫妻、その他アジアの大物マッチメイカーや有力プロモーターも出席するという。明日は彼らに紹介しますから準備しておいてくださいね、の言葉に思わず顔がこわばった。
ホテルに帰ってもなかなか寝付けなかった。これまでマッチメイク、タイ語や英語学習など、徒手空拳で闇雲にやってきたが、関係者各位、先輩諸氏のおかげでこんな体験をできるということが感慨深かった。
明日が楽しみだ。