拳を固めてサワディカップ4-1

dav2017年10月31日、うれしいニュースが飛び込んできた。

11月26日のWBC世界ミニマム級チャンピオン、ワンヘン・ミナヨーティン(タイ)の挑戦者に、福原辰弥(本田フィットネス)が選ばれたという。福原選手はプロテストのセコンドをしてからの付き合いで、これまでほとんどの試合を観戦してきた。場所はタイ北東部の都市、ナコンラチャシマー。

福原選手は、スピードと豊富な手数を武器にするサウスポーで、強豪相手にキャリアを重ね、日本タイトルを手にした後、二度の防衛。WBO(世界ボクシング機構)ミニマム級タイトルを獲得するも、初防衛戦で無冠に。捲土重来の世界再挑戦だった。ニュースを聞くやいなや、チケットを予約し、ホテルを取った。

11月24日、午後1時バンコク到着。クイーンシリキット駅近くのAPホテルにチェックイン。旅行シーズンのためか、今回はあまりいいホテルが取れず、大好きなプールもなし。しかし、今回は強行スケジュールの上、寝に帰るだけのホテル利用なのでまあ良しとする。

ホテル近所のヨッカオジムに顔を出すと、旅行者たちを対象にした、1日ムエタイレッスンの真っ最中だった。観光ツアーのプランに組み込まれているらしく、10人ほどの白人の男女が熱心に汗を流している。どこか閉鎖的な日本のボクシングジムが見習う所が大いにあるような気がした。

この2.3ヶ月、本当に忙しかった。会社の業務の新規案件に伴い、人員の補強に研修マニュアルの強化。取引先の期待に応えるべく、スタッフたちと連日連夜、会議を重ね、衝突を繰り返しながら、どうにか乗り切ってきた。小さな広告会社だが、もう26年目を迎える。うまく行かない時期や、中だるみの時期もあったが、働き盛りの今、やれるところまで頑張ってみようと思う。

夕方、ナナプラザのバービアにビールを飲みに行くと、旧知の日本人Nさんがいた。通販会社を経営し、東南アジア各国にバイヤーとして買付けの旅をしているというNさんと、商売や経営について語り合った。異業種であれ、精力的な経営者と話をしていると、それは刺激になり、こちらも気持ちを新たにすることができる。とてもいい夜だった。

ホテルに戻ると、大志くんから電話。

「明日の計量から一緒に行くのなら、車で連れて行きますよ。ナコンラチャシマーまで車で3時間強。日帰りを2日繰り返すのはツラいから、明日はナコンラチャシマーのホテルに泊まりましょう。ホテルはこちらで予約します」とありがたい申し出。

明日に備えて早く寝ようと思っていると、ドアをノックする音が聞こえる。ドアを開けると、ホテルの管理人が立っている。何の用だと尋ねると、夕食を作りすぎたから、下のテラスで一緒に食べないかと奇妙な答えが返ってきた。人の良さそうな顔をした管理人と1階の小さなテラスでビールを飲みながら、お手製のガパオと川魚の鍋料理をごちそうになる。なかなか美味しかった。昔、日本で3年ほど働いたことがあるらしく、片言の日本語を話していた。明日はナコンラチャシマーに泊まるから、一日留守にするが、チェックアウトではないし、部屋の掃除もしなくていいと言うと、「OK、貴重品はしっかり保管してあげるから、安心して預けてくれ」という顔が怪しすぎたので、明日、貴重品は全部持っていくことに決めた。