拳を固めてサワディカップ4-2
11月25日12:00、待ち合わせのプラディパッドに行き、大志君、熊本日日新聞の記者たちと合流。一路ナコンラチャシマーに向かう。高速道路で一直線。山岳地帯のきれいな景色を見ながらの3時間半のドライブは快適だった。
ホテルのチェックインを済ませた後、ラウンジで関係者たちと談笑。ほどなくして、先にタイ入りしていた福原選手や本田会長と合流。数台の車に分乗して、陸軍基地内の試合会場での前日計量に向かった。
18:00ジャストに計量。共にリミット一発でパス。福原選手の顔色が少し土気色していたのが気になったが、本人曰く、「いつも一晩でしっかり回復するんですよ」とのこと。一方、ワンヘンは計量後、すぐに大量の水を飲んでいた。後半のスタミナ切れが危惧される。検診も問題なし。ナイスファイトを期待したい。
ホテルでひと休みした後、ホテル近所の日本料理屋で関係者たちと会食。明日の予想や今後のマッチメイクの話に花が咲き、すっかり遅くなってしまった。
試合当日10:00、チェックアウトを済ませ、近くの屋台村で朝食。バンコクに比べ物価がかなり安い。15:00の試合開始まで間があるので、初めて来たナコンラチャシマーの街を散策。騒々しいバンコクとは違い、のんびりした雰囲気で、将来隠居するには、このくらいの規模の街がいいのかもしれない。150Bのタイマッサージで疲れを取り、みんなで試合会場へ向かった。
広大な陸軍基地内に設営されたボクシング会場。屋外特設リングの上に、大きなドーム型の雨よけが設置されている。CPの興行は、いつもこの設営スタイルだ。控室も日本の運動会のような簡易テントでの相部屋形式。福原選手の激励に行くと、本人の言ったとおり、顔色もよく目に力がみなぎっていた。
37℃の猛暑の中、WBCミニマム級タイトルマッチのゴングが鳴った。福原選手はキビキビした動きから、得意のワンツーを上下に散らす。いい出足だと思った途端、ワンヘンがスタンスを広くし、重心を更に低くした。ちょっとしたことだったが、もう福原選手の左ボディストレートが当たらなくなった。しかし、さすがは元WBO王者、福原選手は接近戦に切り替えて打ち合いに持ち込もうとする。派手なパンチの交換はないものの、戦略のせめぎあいはリングサイドから見ていて実に味わい深かった。
地元の熱狂的な声援もあり、次第に僅差ではあるが、ワンヘンがポイントを着実にリードし続ける。福原選手も驚異的なスタミナでチャンピオンを追い回すが、最終回までに捕まえることができなかった。ワンヘンも安全運転に徹し、難なく判定勝ちでタイトルを防衛した。テレビ中継の実況アナウンサーのワンヘン寄りの音声は会場にも大音量で響き渡り、それに呼応して観客は大声援を上げる。この地でワンヘンのような消極的な選手に判定で勝つのは至難の業だと改めて思った。
バンコクに戻ったときは大志君はじめ、全員ヘトヘトだった。食事にでも行こうかと思ったが今日はパス。大晦日の防衛戦のため、13コインジムにWBO(世界ボクシング機構)フライ級王者、木村翔(青木)がトレーニングキャンプに来ているという。激励に行くために今日はしっかり疲れをとっておこう。