拳を固めてサワディカップ5-1

FB_IMG_16193565447112018年2月19日、今回は特に仕事もなく家族旅行でバンコクへ。

昼前の便で、那覇空港に到着。レンタカーを借りてドライブで時間を潰し、21:45の深夜便でスワンナプーム国際空港に到着したのが日本時間で2:45。イミグレーションは中国人の旅行者で長蛇の列。高齢の母親には辛かっただろう。タクシーに乗り、40分ほどでナナ駅近くのウォラブリホテルに到着。店も開いてないのですぐに就寝。

 

今回の旅行は、腰が悪い母親にタイマッサージを毎日受けさせるために来たようなものだった。昨年、手術は受けさせたものの、年齢からくる経年劣化で、術後の回復が思ったように良くならないため、帰省のたびにストレッチやセルフマッサージを教えていたが、どうも続かない。今回の滞在中に、毎日マッサージやストレッチをさせて、少しでも習慣づけばいいと考えてのことだった。

 

9:00起床後、母親にマッサージと腰骨整体をして、朝食へ。午前中から開いているオープンバーで朝食をとりながらビールを楽しむ。タイ人ホステスや欧米人のお客たちと乾杯。母親は初めての海外旅行に戸惑いながらも、次第に慣れてきたようで楽しそうだった。

食事後、近所を散歩し、行きつけのタイマッサージ屋に入店。みっちり90分の施術のおかげで、だいぶ楽になったようで良かった。帰り際にマッサージ嬢にチップを渡しながら事情を話すと、

「帰国までにしっかり治してあげるから、毎日おいで、料金は半額にしてあげるから。お母さんに少しでも楽になって帰ってもらいたいわ」

といたずらっぽく笑って言った。

 

そういえば2月5日はチャッチャイの誕生日だった。前回のスパーリングのお礼も兼ねて、誕生日プレゼントを買って行こう。BTSに乗り、プロンポン駅前のデパート、エムクオーティエに行く。1階にある輸入酒コーナーで、チャッチャイが世界王者になった年のスパークリングワインを購入。

マッカサン駅まで移動し、エアポートレイルリンクでラムカムヘン駅へ。タクシーに乗り換えチャッチャイのジムに到着。15:00にはオープンして練習開始しているはずだが、ジムは無人だった。そばにいた建物の管理人に聞くと、休みじゃないか、とのこと。どうしたものかと迷っていると、管理人がチャッチャイに連絡を取ってくれ、いまから急いで向かうらしいから、少し待っていてくれと言う。

15分ほどでチャッチャイが到着。再会の握手をして、妻と母親を紹介する。ジム隣のカフェでコーヒーをごちそうになりながら、妻と母親そっちのけでボクシング談義。母親は、チャッチャイが日本語がわからないのをいいことに、

「ドリフターズの仲本工事にそっくりね」

と、クスクス笑っていた。

チャッチャイに誕生日プレゼントを渡すと、世界を獲った年の記念ボトルだなと、とても喜んでくれたが、彼自身はお酒は一切飲めないのだという。失敗したなと思ったが、

「このボトルは特別だ。家に帰って今夜、妻と乾杯するよ」

と言ってくれたので少し救われた。

勇利とスパーリングしてくれたパランポンは、昨年、WBO(世界ボクシング機構)ミニマム級タイトルマッチで、1ラウンドにチャンピオン田中恒成から鮮やかなダウンを奪ったものの、9ラウンド逆転のKO負けで初の世界挑戦は失敗に終わったが、相変わらず元気に練習に励んでいるという。今回会えなかったのは残念だが、

「チャンスをもう一度作って、必ずパランポンを世界王者にする」

と、チャッチャイは、力強く語っていた。お互いの健闘を祈ってジムを後にする。

 

ナナに戻り、オープンテラスのタイレストランで夕食。陽が落ちると屋外でも夜風が気持ちいい。昔話に花が咲き、6年前に他界した父親のことなども思いだす。酒が大好きだった父親もこうしてバンコクに連れてきてやりたかった。リラックスした異国の街で、グラスを傾けながら、男同士の話をもっとしてみたかった。親孝行したいときに親はなし、とはよく言ったものだ。せめて母親には楽しい老後を過ごしてほしいと思う。