拳を固めてサワディカップ5-2

FB_IMG_1620610044422FB_IMG_16193565137012月21日、9:00起床。母親にストレッチと整体をして、朝食へ。妻がサイアムで仕事があるというので、母親と二人で屋上プールで昼過ぎまでくつろいだ。プールで泳いでいると、バカンスに来ていたドイツ人家族の子どもたちがやたらと懐いてきて、飛び込みや素潜り競争をして遊んだ。

昼過ぎに、トゥクトゥクでリバーシティへ遊びに行く。チャオプラヤー川のほとりのカフェで昼食。美味しいピザと激甘ドリンクを注文。超がつくほどの甘党の母親も、「こっちの飲み物はホント甘いわね」と驚いていた。ギフトショップで買い物をした後、クルージングをしようと思ったが、運悪く、この日は大量の中国人観光客用のチャーター便しか運行していないとのことなので断念。タクシーを拾い、チャイナタウンをドライブした。

MBKに寄り、お土産などを買った後、ホテルに戻り、仕事が終わった妻と合流。この日が誕生日の妻と母親だけの自由行動をしてもらい、タクシーを呼び、ガンウォンワンに向かう。

タクシー運転手に「ガンウォンワン」と行き先を伝えるが、日本語にはない発音のためか、なかなか通じない。スマホを見せるもアルファベットが読めないらしく要領を得ない。めげずに数十回繰り返したところでやっと伝わった。運転手が笑いながら

「発音が違うよ、ンガンウォンワンだよ」と言う。

「わかった。ンガンウォンワンだね」と聞くと、

「違うよ、ンガンウォンワンだ」

どこが違うのかわからない。まだまだタイ語の勉強が足りないようだ。頑張ろう。

 

30分ほどでサイトーンジムに着いた。連絡もせずいきなり行ったので、サイトーンと恋人兼マネジャーのフォンちゃんが驚きながら歓迎してくれた。

サイトーンはこのジムの会長で、彼が九州圏内にタイ選手を送り出すときに、アテンドやセコンドを手伝う間柄で、もう3年の付き合いになる。いつかジムに遊びに来てほしいと言われていたので、驚かそうと思って、今回抜き打ちで訪ねた。

2017年4月のサポートは本当に大変だった。サイトーンの選手、シーラユット・シットサイトーンが福岡の試合に出場することになったのだが、サイトーンは別件で大阪に行かないといけない。青島親子は東京でのタイ人選手の試合の仕事がある。空港への出迎え、ホテル手配、コンディション調整、計量、試合のセコンドすべてを私一人で請け負うことになった。付添はボクシングのことをあまり知らないフォンちゃんのみで、しかも彼女とはこの時が初対面。不安だらけだったが、覚悟を決めて快諾した。

試合前日の計量の時に事件は起きた。シーラユットの相手が体調不良で減量失敗。1.8kgオーバーだという。チケットの販売も完了しているため、メインイベントのこの試合を中止にするわけにはいかないとプロモーターは言う。200gや300gならまだしも、1.8kgの差は大きすぎる。グローブハンデをつけたとしても、あまりにも危険すぎる。

急遽、コミッションとプロモーター、そして私とで緊急会議が始まった。いろんな意見が飛び交ったが、結局、契約ウエイトの変更ということで落ち着いた。そのためには、タイ選手のジム側の了承を得ないといけない。翌日試合時の両者の体重差は3kgを超えるだろう。早速サイトーンに連絡を取ると、最初、かなり渋ってはいたが、最終的には、選手の安全を約束してくれるなら、という条件付きで了承をもらった。

試合はシーラユットが善戦したものの、4ラウンド負傷判定で敗れた。一回り体の大きな相手によく戦った。敗れはしたものの、事故もなく試合を終え、無事に空港へ送り届けた時の脱力感を今も覚えている。

 

サイトーンジムでお茶をごちそうになりながら、このときの苦労を笑い話で語った。聞けば最近このジムからOPBF(東洋太平洋ボクシング連盟)ウェルター級チャンピオンが誕生したという。これに続くチャンピオン育成に燃えるサイトーンと、これからの益々の協力関係を誓い合い、ジムを後にした。

 

ホテルに戻り、妻の誕生会の晩餐へ出かける。スリウォン通りのヌイさんのレストランで舌鼓。

「今日はどこに行ってきたの?」と聞くヌイさんに、

「ンガンウォンワン」と答えると、

「え?どこ?」、通じてない。

「ンガンウォンワン」もう一度言うと、

「発音が違うわよ、ンガンウォンワンね」

タイ語の発音は本当に難しい。