拳を固めてサワディカップ6-2

5月20日、9:00起床。プールで1時間泳いだ後、朝食兼昼食と摂りにBTSと地下鉄を乗り継ぎフワイクワン市場に向かう。駅前交差点の立派な祠にたくさんの地元住人がお供え物をして熱心に拝んでいる。気がつくと礼拝の列に飲み込まれていて、成り行きで靴を脱いで上がり込み拝んでいくことにした。

近所の屋台に入り、クイッティアオとガイヤーンにコーラを注文。パクチーの香りが特にきつい料理を食べていると、バイクタクシーの運転手が相席してきて、「熱心に拝んでいたね。外国人なのに珍しいよ」と話しかけてきた。特に真面目な仏教徒でもないので返答に困っていると、「今日は日曜日。チャトゥチャック市場にでも出かけたらどうだい、乗せていくよ」としつこく営業をかけられた。特に用事もなかったから、買い物も悪くないと、乗せていってもらうことにした。

チャトゥチャック市場は人出はそんなに多くなかった。昼前ということもあり、気温もそこそこで、快適な散策だった。ココナッツジュースを買い、フットマッサージ屋に入る。30分コース250Bの少し割高のマッサージは最高に快適だった。

お土産のTシャツや石鹸を買い込み、ホテルに戻る。部屋に戻るとドアが開いている。ルームクリーニングかなと思い、チップを置き忘れていたのを思い出し、50B程度のチップを渡そうと部屋に入ると、清掃のスタッフの男の子がベッドの上で大の字になりいびきをかいていた。揺すって起こすと照れくさそうに「フロントには内緒にしてください」と笑っていた。

16:00にチャッチャイのササークンジムで待ち合わせのため、15:00にホテル出発。フロントにタクシーの手配を頼もうとしたら、先程の清掃員のタオ君がホテル無料送迎のトゥクトゥクで駅まで送ってくれた。ホテルから直行でタクシーに乗ったほうが乗り換えもなく効率的だったが、さっきのお詫びのつもりなのだろう。モーチット駅まで送ってもらい、タクシーに乗り換える。運賃はだいぶ浮いたから良しとしようか。

タクシーに乗り40分。のんびりした郊外の街にチャッチャイの新しいジムはあった。これまでよりも更に大きなジムで選手やフィットネス会員もかなり増えていた。

ジムに入るとチャッチャイはトレーナーたちと一緒に、子供達にパンチを教えていた。よく見るとそのトレーナーたちは、WBAミニマム級王者のノックアウトやバンタム級世界ランカーのペット、ミニマム級アジア王者のペッマニー、フライ級世界ランカーのナコーンらで、ペッインディプロモーションの精鋭たちが勢揃いしていた。

指導が一息ついたところで、チャッチャイや選手たちとコーラで乾杯。新しいジムの門出を祝い、選手たちの世界挑戦の健闘を祈り、力強い握手を繰り返した。

タクシーを呼ぼうとすると、帰りはチャッチャイが車で送ってくれるという。ついでにチャッチャイの奥さんも合流し、ラップラオのレストランで食事をすることになった。

この日のチャッチャイは終始ご機嫌で、奥さんも「この人ったら、環境も良くなったせいか、ナンバーワンの指導者になるんだって張り切ってるのよ」と嬉しそうだった。ボクシング業界は浮き沈みが実に激しい。チャンピオンが生まれれば連鎖反応でジムやプロモーションは潤うが、慢心した途端、その歯車は一気に崩れ始め、立て直しはうんざりするような根気を要する。おごることなく情熱を持ち続けようと、気持ちを新たにして何度も3人で乾杯した。