拳を固めてサワディカップ7-3

8月4日、前日飲みすぎたので遅い起床。今日は何も予定がないので、屋上プールで昼過ぎまで泳ぎ、日光浴をしながら昼寝。今日はこの夏一番の暑さで、現地人のように真っ黒に日焼けしてしまった。

スクンビット通りまで出て、ソイ3あたりのイスラム街を歩く。コピーブランドの屋台やエキゾチックな雑貨屋、ケバブ屋、アラブ系のレストランが並んでいた。小腹がすいたので、アラブレストランに入る。豆カレーと川魚料理を注文。初めて食べるアラブ料理だったが、タイ料理に慣れているためか、わりとあっさりとしていて美味しく食べられた。滋養強壮にいいよとハブ酒のようなものを勧められ、飲んでみると1分後には体が燃えるように熱くなってしまい顔も真っ赤。ボーッとしているとウエイターたちから写真を撮られ大笑いされた。

 

BTSでラチャテウィーまで移動し、行きつけのオカマのタイマッサージ屋に行く。いつも担当してくれるマイラヤーの力強いマッサージで驚くほどスッキリした。マッサージが終わり、チップを渡すと、

「ちょうど今から休憩なの。ご飯をおごってくれない?」

と言うので、近所の屋台に入る。マイラヤーにタイのオカマ事情はどうかと聞くと、整形や性転換手術、実家への仕送りなんかでお金がかかって仕方ないという。マッサージの他にも、週に何日かは市場の屋台で焼き鳥を売ったりと、忙しく働いているらしい。たまにオカマバーでも働いているらしく、

「よく指名してくれるお金持ちの中国人がいるの、うまく彼女の座に収まりたいわ」、と獲物を狙うような目で話していた。

 

8月5日、昼過ぎからミナヨーティンジムへ向かう。今日の興行は大志くんがプロモートするらしい。日本からもピューマ渡久地ジムのコブラ諏訪選手がタイ国スーパーウエルター級タイトルマッチに出場するという。この猛暑なので、前半から倒しにいってほしい。

パホンヨーティン通りを40分ほどタクシーで北上。原生林のような草薮だらけのローカルな一角にミナヨーティンジムはある。ここからWBCミニマム級チャンピオン、ワンヘン・ミナヨーティンジムが誕生した。100坪くらいの開放的なジムだ。

ジムに着き、渡久地会長や有吉会長、サイトーン夫妻に挨拶。ウォーミングアップをしている諏訪君の仕上がりも良さそうだ。有吉会長と同行していたWBOフライ級チャンピオンの木村翔君も挨拶に来てくれた。みんなで談笑していると、トンチャイがミネラルウォーターを持ってきてくれた。トンチャイはサイトーンの選手で、以前、彼が日本で試合をした時に面倒を見た選手だ。

「次はいつ日本に来るの?」と聞くと、「日本での連続KO負けで無気力試合該当選手になってしまったので、もう日本で試合ができないんです」と元気がなかった。

 

諏訪君の強さは圧巻だった。相手のタイ人との力の差も歴然だったが、異国の地で実に落ち着いた試合運びで、難なく2ラウンドKO。日本人ながら、タイ国スーパーウエルター級タイトルを獲得した。

 

試合後、関係者たちと、プラディパッドのタイレストランで会食。海鮮料理に舌鼓を打ちながら、今後のマッチメイクの展望などを語り合った。

日本はもう経済大国ではなくなってきている。これまでのように、高額なファイトマネーで海外選手を日本に招聘してばかりはいられないだろう。今日の諏訪君のように、海外に雄飛してハードなアウェイでキャリアを作る選択肢も考えていかなければいけない時期に来ている。海外で萎縮せずに勝っていけるタフさを教え込んでいくという指導者としての課題も感じた。