拳を固めてサワディカップ8-1

2018年9月9日、筑豊ジム興行の4回戦を観に行く。私がマッチメイクした杉元亮太(ウエスタン延岡)は1ラウンドにダウンを取られたものの、辛抱強く巻き返し、なんとかドローに持ち込んだ。試合後杉元君は、

「次こそ勝ちますので、また試合を組んでください」と力強く再起を誓っていた。

9月24日、名古屋へ飛び、WBOフライ級タイトルマッチ、チャンピオン木村翔(青木)対、田中恒成(畑中)を観戦。両者持ち味を出し合った素晴らしい試合で田中が2階級制覇。年間最高試合に選ばれる激闘だった。

10月20日にナコンルアンプロモーションの興行で荻堂盛太(平仲)がポンサクレック・ナコンルアンプロモーション(タイ)の持つ、WBCアジア・ライトフライ級タイトルに挑戦することが決まった。早速チケットを取りホテルを予約。

 

10月18日、福岡空港からスワンナプーム国際空港へ向かう。機内は空席だらけで快適な空の旅だった。ぐっすり眠りベストコンディションでバンコクへ到着。16:00にウォラブリホテルへチェックイン、荷物を置いてすぐ食事に出かける。パッポンのバービアに入り、いつものグリーンカレーとソムタムを注文。顔なじみのウエイトレスが誕生日だと言うので、シャンパンで乾杯した。すでに現地入りしている平仲ジムのマネージャーと電話で明日の計量の打ち合わせ。タイではメインイベントが1試合目にあるので、ウォーミングアップなどのタイムスケジュール管理の徹底をアドバイスした。

 

19日、プールサイドでの朝食後、タクシーを呼び、12:00からの計量のため、ワークポイントスタジオへ向かう。高速道路が大渋滞という悲惨な状態だったが、想定して早めに出発したので無事時間通りに到着できた。

平仲ジムスタッフに挨拶し、久しぶりに会う荻堂君と握手。彼のデビューは2011年6月19日、関ジムの興行でマッチメイクした。彼とはそれ以来の再会で、すっかりたくましく成長した姿に嬉しくなった。

計量は両者とも1発でパス。健康診断が終わると、当日放映されるインタビューやプロモーションビデオの撮影。ルールミーティングが終わり、ラウンジへ行くと大量に水を飲んでいるポンサクレックとバッタリ。

「減量は順調だった?」と聞くと、

「今回はどういうわけか、汗が出ずに苦労しました。サウスポーはあまり得意ではないけど明日はがんばります。ベルトは渡しません」

と、ニッコリ笑っていた。

 

ホテルに戻ろうとタクシーを手配し、到着を待っていると、ビーさんから電話。

「計量でランシットまで来てるんでしょう?うちのジムで生徒たちのムエタイ検定と表彰式をするので、今からゲストとして来てください」とのこと。

急遽行き先を変更して、パトゥンタニのTジムへ向かう。

Tジムに到着し、ビーさんや奥さん、トレーナーたちに挨拶をした後、演舞の検定が始まった。5歳から10歳くらいの可愛らしい子どもたちがムエタイの正装をして、キレイなワイクーを踊っていた。続いてミット打ち。小さな子どもたちが大きなグローブを着けて、一生懸命ミットにポカポカ打っている様は微笑ましくて可愛かった。

もちろん全員合格。認定書とプレゼントのお菓子を贈呈する役を仰せつかった。みんなまっすぐこちらの目を見るいい子たちだった。この中から将来プロの選手が生まれるかもしれないと思うと感慨深かった。先生の言うことをよく聞いて、立派なボクサーになってくださいね。

 

夕食をとりにタクシーでスリウォン通りへ。行きつけの屋台でカオカムーとシンハービールを注文。ここのカオカムーはいつ食べても美味しい。何かいいことでもあったのか、いつもぶっきらぼうな屋台のおばちゃんが笑っているのを初めて見た。

 

明日は荻堂君にとって勝負の試合になるはずだ。WBC(世界ボクシング評議会)9位にランクされるポンサクレックは若く、勢いのある強いチャンピオンだが、荻堂君のスピードとテクニックを如何なく発揮すれば攻略できない相手ではない。悔いのないボクシングをして、世界戦線への足がかりにして欲しい。

 

健闘を祈る。