拳を固めてサワディカップ10-1

今回は、飲み友達のFさんと、半分旅行気分でバンコクへ。Fさん曰く、最近辛いことが多かったから、気晴らしに連れて行ってほしいとのこと。今回はそんなに重要な用事もないので、こちらも少し羽を伸ばそうと快諾した。

今年は毎月バンコク入りするつもりだったが、昨年マッチメイクした杉元亮太(ウエスタン延岡)が、2月に関ジムに合宿に来ていたので、毎日の朝練やジム練習につきっきりになったため、時間が取れず、2ヶ月ぶりの訪タイになってしまった。

3月14日、福岡国際空港からタイ・ライオン・エアに搭乗し、現地時間13:00にバンコク・ドンムアン空港に到着。イミグレーションはガラガラだった。空港外の喫煙所でいつもの強烈な日差しを浴びながら一服した後、タクシーを拾い、スティサン駅近くのラチャダー17プレイス・ホテルに到着。

荷物を置いて、フワイクワーン交差点近くの屋台で、昼食をとりながらチャン・ビールで乾杯。Fさんの愚痴を聞きながら、激辛トムヤムクンとガイヤーン(タイ風焼鳥)ですっかり満腹。愛想のいい屋台のおばちゃんと記念撮影をして、ホテルに戻る。

屋台の写真をSNSにアップした途端、友人のノックから電話。

「バンコクに来てるんでしょう?夕飯を一緒に食べましょう」

今回は友人と一緒だと言うと、友達を連れて行くから4人で乾杯しようとのこと。18:00に会う約束をして、それまでホテルで仮眠。

なんとなく疲れが取れず、街中へ出かけていく元気もなかったので、ホテル前のこじんまりとしたバーでノックたちと待ち合わせ。ワインのソーダ割りで乾杯の後、ノックのその後の近況を聞くと、勤め先のラムカムヘンの美容室では指名客も増えてきて、忙しいながらも楽しくやっているとのことで安心した。

あいかわらず酒豪なノックと、空きボトルでテーブルをいっぱいにしたところでお開き。タクシーを手配し、女性陣を返した後、Fさんとホテルの部屋で飲み直し。聞くに堪えない愚痴は深夜まで続いた。

 

3月15日、9:00起床。天気が良かったので、ホテルのプールで朝からひと泳ぎ。隣接するフィットネスジムで筋トレが終わったところで、腫れぼったいまぶたで起きてきたFさんと朝食を取りにナナへ向かう。ガイヤーンが美味しい、ウォラブリホテル向かいの行きつけの食堂で、よく冷えたビールを飲んでいると、友人のソンさんから電話。

このソンさん、FACEBOOKで知り合った、柴犬、桜の木、錦織圭が大好きな、日本フリークの銀行マンで、去年、日本の国旗が欲しいと言ってきたので、プレゼントで郵送したことがあった。

「バンコクに来ているんだろう?先日のお礼もしたいから、これから会えないか。今から昼休みでランチタイムだ」

とのこと。

もちろん行きますよ。

ナナ・プラザ前で、毎度毎度の250B(750円)を150B(450円)に値段交渉をしてトゥクトゥクに乗り、ポーンプラームのタナチャート銀行スアンマリ支店に向かう。

立派なオフィスの前の広場で待つこと5分、部下を連れたソンさんと初対面。初対面だが、普段からSNSでやり取りをしているため、初めて会ったような気がしない。そういえばビーさんのときもそうだった。

「よく来てくれた。思ったよりも幼い顔をしているね。ようこそバンコクへ。さぁ、食事に行こう」

と、タヴィーチャイ・ポーチャーナー・レストランに案内してくれた。

改めて自己紹介をして握手。サラリーマンのランチじゃないだろう、というくらいの豪華なコース料理をごちそうになる。

「どうして僕がケンのFACEBOOKに友人申請をしたか、わかるかい?」

聞けば、彼はビーさんの学生時代の友人だったそうだ。

「ビー君のお父さんが亡くなったときのタンブン(お布施)。あれはとてもいい話だった。僕は日本が大好きだし、自分の友人に対して、見ず知らずの日本人がこんなことをしていると知って、本当に驚いた。ぜひ付き合いをしてみたいと思って、あんなワガママを言ってみたんだよ。日本の国旗が欲しいってね。すると、君はすぐに送ってくれた。ありがとう。君がこの国でのボクシングの事で、何かやろうとしているのはうすうす知っている。できることは応援したい。今後ともいい友人でいましょう」

とんでもなくありがたい言葉に驚くとともに、人の縁の空恐ろしさを感じた。

あれだけ苦労した、バンコクでの銀行口座開設も、ソンさんは笑いながら、「そんなことか、お安い御用だよ」

と、ものの20分ほどで手続きをしてくれた。

 

ソンさん、ありがとう。